平成11年度は、特別養護老人ホームの建て替えに際して、同一入居者・職員・敷地において、小規模処遇の導入を客観的に検証するため、複数ユニットを全国に先駆けて導入する、岐阜県立特別養護老人ホーム「飛騨寿楽苑(飛騨古川町)」を対象として、ユニットケア導入前の入居者の生活展開(居室の使い方、施設内での生活、生活の質)からケア(介助の内容、介助の質、スタッフのストレス)に関して調査を行った(平成11年9月)。ここで得られたデータは、本年度得られるユニットケアの導入後のデータと比較し、その効果を検証する予定である。 また、老人保健施設に全国で始めて本格的なユニットケアを導入した「ケアタウンたかのす(秋田県鷹巣町)」を対象として、平成12年3月、入居者の生活展開(ユニット内での生活展開、ユニット外での生活展開、痴呆棟ユニットでの生活展開)からケア(介助の内容、介助の質、スタッフの移動距離)に関して調査を行った。調査時期が年度末に差し迫った時期であり、得られたデータの詳細については、十分な分析ができていないが、1)ユニットに最低一人の職員が配置されている時間帯は、職員の移動距離が短縮されていること、2)移動距離が短くなることにより、職員にゆとりが生じ、声かけをする回数や、ケアに関連しない会話を行う回数が増えていること、3)ただし、夜勤など、複数ユニットを一人の職員が担当している時間帯は、職員の移動距離は逆にユニット化していない施設よりも多くなる傾向が見られた。 以上、ユニットケアの導入は、入居者の生活の質を高めることが確認されたが、そのためには十分な職員配置が不可欠であることが確認された。
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