前年度は、阪神大震災の被災者対策として設置され、異なる社会福祉法人に運営委託されたケア付き仮設住宅2棟を対象として、介助行為および入居者-職員間の会話から、両ケア付き仮設住宅において入居者-職員の関係性や雰囲気に違いが見られること、またそうした差異が職員のシフトやケアスタンスの相違に依ることを示し、同一設置形態のグループリビングユニット間に見られる差異を画タイ的に示したが、本年度は、引き続き両ケア付き仮設住宅がグループハウスに統合される過程を中心に調査を行い、小規模グループリビングにおけるケアの継続性と入居者の適応過程について、行動観察と入居者-職員間の会話内容に基づき考察し、小規模グループリビングの施設転居直後、居室滞在率が高まり「閉じこもり傾向」が見られること、入居者による自発的な会話が減少するだけではなく、その内容も介助に関連する割合が増え、より多くのサポートを必要とする受け身の状態となることから、平常時に増してケアが必要となること、また、適応過程全般にける入居者による自発的会話と日常会話の割合の時系列的変化から、入居者-職員の関係性が構築される過程を示した。また、ケアスタッフが変化しないグループとケアスタッフが新しくなるグループを比較し、施設転居に伴う影響がケアスタッフの変化したグループに強く現れることから、小規模グループリビングにおいて、ケア環境の継続性が物理的環境と同様に重要であることなどを、高齢者グループリビングの統合過程から示した
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