研究概要 |
2年間の研究課題の初年度に当たる本年度は,以下の予備的検討を中心とする研究を行った. 1.既往研究の整理 2.「アーツ・アンド・アーキテクチャー(以下,AA)」誌の特徴の把握 AA誌の1930年代終盤から廃刊となる60年代終盤までの全号の複写を用いて,エンテンザ氏が編集を行っていた期間にAA誌に掲載された全ての作品の特徴を,(1)建築家,(2)立地,(3)建物種別を,掲載年や掲載ページ数を中心に整理し,その特徴を実証的に確認した.さらに,ニューヨークで発行されていた「アーキテクチュラル・レコード」誌に,40・50年代に掲載された独立住宅作品を対象に,上記と同様の分析を行い,その結果をアメリカ西部と東部の主要な建築雑誌の掲載作品という観点で比較しAA誌の特徴を明らかにした. 3.1940年代・50年代におけるロサンゼルス近代建築の空間構成に関する分析 AA誌に掲載された建築家について掲載ページ数から作品を抽出し,これらの作品の図面(配置,平面・断面図)をCADデーター化し1次資料とし,ついで,配置構成,内部空間構成,外部空間構成,空間構成材に関する基礎的分析をふまえ,建築家ごとの共通点や差異について以下の点を導いた. 71件の住宅作品を対象に,空間構成材とモデュールによる空間構成法の類型的把握を行い,特性を示す軸として自然と人工,小スパンと大スパンの2軸を導き,その軸を中心に,5つの期に移行していることとともに,それらを特徴づける建築家を明らかにした.さらに,公・私室の構成,外部空間構成,立体構成の分析項目ごとにその特性を示す2軸を抽出し,その移行とおのおのを特徴づける建築家を示した.特性を示す軸として,公私室の構成では領域性と断面形態を,外部空間構成では開放性と全体形態における外部空間の配置,立体構成では,ヴォリュームと立面を導いた.
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