研究概要 |
1,Ni中に複数のナノメートルサイズのNi_3Al単結晶が分散したナノコンポジットの弾性ならびに塑性変形挙動の分子動力学シミュレーションを行った。Ni(γ相)とNi_3Al(γ'相)が(100)面で直接接合している整合界面(NFGM)、ならびに、(b)γ'相からγ相へのAl組成の分布が<100>方向に連続的に変化している整合界面(FGM)との変形挙動の比較をした。FGMならびにNFGMともに、見かけひずみ10%では、転位するすべりが生じた。塑性変形の領域は、FGMの方がNFGMよりも広い。すなわち、界面を傾斜構造にする事によって、Ni基スーパーアロイの基本構成であるNi/Ni_3Al合金の加工性が向上する事を明らかにした。γ相として、純粋なNiである場合と、Al原子の固溶がある場合とを比較すると、後者の方がポテンシャルエネルギーは低くなる結果が得られた。これは、Al原子に起因する。変形時の応力とひずみの関係から、ヤング率を計算した。FGMのヤング率はNFGMのヤング率よりも数パーセントほど小さい値を示す。 2,FGMの電子物性を評価するための第一ステップとして、完全な第一原理計算であるFLAPW法(full potential linearized augumented plane wave)による金属間化合物の電子構造のシミュレーション(バンド計算)を行った。交換相関相互作用については、電子密度の安定状態付近の微係数までを取り込んだ一般化勾配近似(GGA)を用いることにより、メタロイドを含む合金の電子構造の高精度での計算が可能である事を明らかにした。
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