研究概要 |
超高温構造材料の実用化にはコーティングによる耐酸化性の付与が必要であり,優れた超高温耐酸化皮膜の開発が急務である.本研究では,超高温耐酸化皮膜に要求される性質(高融点,極低酸素透過性,優れた耐酸化性,自己修復性,熱膨脹係数など)のうち,かなりの部分を満たすことのできる材料としてIrAl金属間化合物皮膜が適当と考え,アーク溶解および粉末冶金法により種々のIrAl合金を作製し,相安定性,機械的性質および耐酸化性を調べた.また,同様にIr-Si期金属間化合物を作製した.本年度明らかになった結果を列挙する. (1)組織 IrAl合金では,溶解材ではIr/IrAl共晶が残存し,これを機械的に壊し焼結してもIr相が残存する.耐酸化性と靱性を劣化させる共晶Irは熱的にかなり安定であり,溶体化による除去が困難である.反応ホットプレス法ではB2単相を作製できる. (2)相安定性 IrAl合金およびNi,Co添加IrAl合金は1750℃までの相安定性に優れる.一方,Fe添加IrAl合金およびIr-Si合金は1500℃以下の低温でも相が不安定である. (3)耐酸化性 アルミとの合金化によりイリジウムの耐酸化性は極めて向上する.大気中1773Kで86.4ks酸化後の溶解材の皮膜形態をEDS/WDS分析した結果,表面から,ドメイン状のIrを含むAl_2O_3層,Al_2O_3連続層,Ir連続層,母材のIrAlとなり,設計どおり,Ir層により酸素拡散は抑制される. (4)添加元素の影響 Ni,Co,Fe添加により酸化中の重量変化が減少する.特にNi,o添加はIrAlの耐酸化性向上に有効といえる.一方,Fe添加は内部まで酸化物が形成される.酸化挙動に関しては今後詳細に検討する必要がある.
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