研究概要 |
本研究では、数kW級のマイクロ波を用いた放電により、シート状の細長い均一な高密度プラズマの生成を可能にすると共に、反応性スパッタリングによる高速な成膜プロセスの実現を目指している。このために、シート状の細長いプラズマを均一に効率よく生成するために必要なマイクロ波伝送線路及び磁場構造について検討を行った。まず、長さ280mm、700W級のシート状ECRプラズマ源についてそのプラズマの空間分布と共にマイクロ波の伝播特性を明らかにした。さらに、反応性スパッタリング成膜による成膜特性を明らかにするために、酸化チタンとITO薄膜の成膜実験を行い,成膜速度及び膜質などの成膜特性を明らかにした。この結果,スロットアンテナから放射されるマイクロ波は、導波管内の定在波分布を反映した構造を持っているが,レーストラック型の磁場構造により、均一なプラズマを生成できることを明らかにできた。生成されたプラズマの空間分布は、180mmの範囲で17%以下の均一性を持っていた。また、成膜で得られた膜厚の空間変動は6.6%であった。本装置では基板を外部加熱することなく,250℃以下で成膜を行ったが,XRD分析から結晶性の良い膜が得られていることが明らかになった。これらの結果を基に、マイクロ波スロットアンテナから放射されるマイクロ波の電磁界解析、永久磁石により作られる共鳴磁場の解析を行い、大電力動作が可能なシート型ECRプラズマ源の設計・製作を行った。
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