研究概要 |
希土類(RE,Rare Earth)金属は、溶媒抽出法などの発達により金属不純物に関しては1mass ppmレベル(99.999%)の高純度金属が製造できるようになったが、酸素に関しては数百ppm程度含むものがほとんどあった。申請者は、カルシウム-ハライドフラックス脱酸法、さらには電気化学的手法を用いた脱酸法の開発に独自に取り組み、従来不可能とされていたRE金属中の固溶酸素を直接除去し、10ppmOレベルの希土類金属を製造する新精錬法を確立し、この新しい原理に基づくRE金属合金スクラップの再利用プロセスの確立の可能性を示した。電気化学的手法を用いた脱酸手法により10ppmレベルの極低酸素RE金属の製造が可能となったものの、反応媒体塩としてCaCl_2を用いるためカルシウムをはじめとする反応媒体塩からの汚染がさけられないことも明らかとなった。そこで、現在は、オキシハライド法と電気化学的手法を併用することにより高い純度のRE金属の製造を目指した研究を行っている。具体的には、(1)CaCl_2の代わりに新たにRECl_3を反応媒体として利用し、オキシクロライド(REO Cl)の生成反応による脱酸と電気化学的手法によるREOClの除去反応を同時進行させる新しい手法の有効性を実験的に検証する。(2)酸素以外の侵入型不純物(e.g.窒素)についても、本手法の有効性を検討し新プロセスとしての可能性を追求している。
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