本年度は、次に示す方法により、燃焼合成中のチタンアルミナイドの変形抵抗の測定を行った。 実験方法:元素粉末として、純チタン粉末、純アルミニウム粉末を用いた。また、反応熱の放出・吸収材として、それぞれB_4C、TiCを用いた。これら粉末を混合し、円柱状の圧粉体を作製した。この時、原料粉末の配合はTiとAlはモル比1:1になるようにした。TiC、B_4Cの添加量は式(1)、(2)の反応が生じると仮定し、反応後のセラミック相の体積配合率が10%または20%となるようにした。 Ti+Al+xTiC→TiAl+xTiC (1) Ti+Al+x(3Ti+B_4C)→TiAl+x(2TiB_2+TiC) (2) 圧粉体を金型中に設置し、試料側面を加熱して燃焼合成反応を誘起し、反応直後に500mm/minの速度で圧縮変形(最大荷重:2ton)を付与した。 実験結果:混合粉末圧粉体を加熱することにより、いずれの試料も燃焼合成反応を生じ、TiAl系金属間化合物、または、その複合材料を合成することが可能であった。そこで、混合粉末圧粉体中に熱電対を挿入した後、燃焼合成を誘起し、試料の温度履歴を測定した。それによれば、TiとAlのみの圧粉体に比べ、TiCを添加した試料では反応熱による温度上昇が抑制され、逆にB_4Cを添加した試料では、熱量が増加していることが明らかになった。次に、燃焼合成直後、高温状態である試料に圧縮荷重を負荷し、その時の荷重-変位曲線を測定した。TiCを添加すると試料温度の上昇が抑制されるので、圧縮荷重(変形抵抗)が大きくなるが、B_4Cを添加した場合には、逆に変形抵抗は小さくなることが明らかとなった。
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