高温液体金属を取り扱う多くのプロセスでは、スラグ-メタル間の界面運動が生産性や製品品質に影響を及ぼすので、その制御はきわめて重要であり、もっぱら非接触操作が可能な電磁場が利用されている。しかしながら、電磁場を印加された状態でのメタル-スラグ界面運動はその観察が困難である、等の理由により十分明らかにされているとは言い難い。 そこで、ここでは電磁場を印加された液体金属とスラグを模擬した非導電性透明液体との界面運動を観察する方法を提案し、各種操作条件が運動に与える効果について解析、実験により調査した。 ここで提案した界面観察方法は、円筒形容器に入れられた液体金属とその上に置かれた非導電性透明流体との界面に対して斜め上部からレーザスリット光を照射し、スクリーン上に映し出された界面からの反射光、すなわち界面形状を高速ビデオで録画する方法である。 解析では、静磁場と正弦波磁場との重畳磁場である準正弦波磁場を円筒容器内に入れられた液体金属に印加したときの電磁力分布をマックスウェルの方程式により算出して、迂界面の運動特性に与える、磁場強度、周波数などの効果を明らかにした。 実験では、円筒容器に入れられた液体ガリウムとシリコンオイルに準正弦波磁場を印加した場合の界面運動を、上述の方法により観察した。その結果、低周波の場合は周期的な波動が、高周波の場合は流動に起因する不規則運動が支配的であることを明らかにした。これは、理論解析と一致する。また、模擬スラグの粘性増大とともに界面運動は抑制されることも明らかにした。
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