高温液体金属を取り扱う多くのプロセスでは、スラグーメタル間の界面運動が生産性や製品品質に影響を及ぼすので、その制御はきわめて重要であり、もっぱら非接触操作が可能な電磁場が利用されている。しかしながら、電磁場を印加された状態でのメタルースラグ界面運動はその観察が困難である、等の理由により十分明らかにされているとは言い難い。そこで、電磁場を印加された液体金属とスラグを模擬した非導電性透明液体との界面運動を観察する方法を提案し、各種操作条件が運動に与える効果について解析、実験により調査した。ここでは、電磁場の周波数と容器形状とをパラメータとして実験データと整理した。いずれのようきにおいても、液深は生成する波動が深水波をなる深さとした。また、容器形状は、鋼のスラブ連続鋳造で用いられている矩形断面、縦横比1:5、ビレット連続鋳造あるいはブルーム連続鋳造で用いられている正方形断面、及び丸断面とした。得られた知見は以下の通りである。 1.容器形状に依らず、シールディングパラメータが1より十分小さい低周波領域においては、液体金属の表面変動は印加磁場と同一周波数の振動が支配的となる。 2.容器形状に依らず、シールディングパラメータが1より十分大きい高周波領域では、液体金属の表面変動は流動に起因するものが支配的となる。 3.流動が最大となる無次元磁気圧の周波数は容器形状およびシールディングパラメータにより異なり、矩形および正方形断面容器の値の方が円筒容器の値より小さくなる。 4.非対称の矩形容器の場合、流動が最大となる周波数は短辺方向の流動パターンと長辺方向の流動パターンがそれぞれ最大となる時の両周波数範囲内にある。
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