1.高温粉塵物性測定法の開発 雰囲気ガスの影響が高温での粉体物性(付着力・凝集性)に与える影響について試作した高温物性試験装置を利用して室温から 950℃までの温度範囲で酸化雰囲気、窒素雰囲気、二酸化炭素雰囲気の異なる雰囲気でせん断試験を行ない、高温でのせん断特性における雰囲気ガスの影響について検討した。試料はあらかじめ加熱脱着装置にて400℃で行ない、雰囲気ガスをその後表面吸着させたものを使用した。また同試料の熱分析装置による物性変化も測定した。これより850℃以上の高温においてPYLが高くなり、粉体層の崩壊に要するせん断力の増加が顕著になることがわかった。また、焼結の進行速度が付着力に影響を与えることを熱分析試験によって確認した。さらに灰の付着力増加現象に強く影響を与えるものは二酸化炭素濃度と炭酸カルシウムであることが明らかになり、この試験方法で基本的な高温粉塵物性評価が行なえることが確認できた。今後は他の物性についても評価できるような試験法をさらに開発する予定である。 2.高温集塵実験 試作した高温集塵装置をK市都市ごみ焼却施設に設置し、焼却炉付近の燃焼排ガスを円筒型硬質セラミックフィルタを使用した高温集塵および粉塵払い落とし実験をおこなった。 これより、集塵時の圧力損失挙動は常温下と同様に初期に急激に増加し、その後緩やかに上昇していくことがわかった。また、粉塵払い落とし効率は高温下になると急激に減少することがわかった。粉塵払い落とし時および実験終了後のフィルタ表面の観察結果からは剥離粉塵片の大きさは高温のものほど小さく、フィルタ表面上には斑状に残留粉塵が堆積されたままになっていることが確認できた。今後は詳細な理論的検討が必要と思われる。
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