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2000 年度 実績報告書

糖類の分子包埋・包接機能を用いたタンパク質熱安定化・香気成分徐放手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 11750652
研究機関京都大学

研究代表者

鈴木 哲夫  京都大学, 工学研究科, 助手 (50243043)

キーワードシクロデキストリン / 香気成分 / 包接 / 徐放 / 湿度 / 分子力学 / 遷移状態理論 / エントロピー
研究概要

シクロデキストリン(CD)からの香気成分や殺菌成分の徐放過程について分子力学法により検討を加えた。香気成分であるリモネンとメントール,殺菌成分であるAITCとヒノキチオールの各々をβ-CDに包接させた場合,AITCとリモネンの徐放速度は湿度の影響を受け,高湿度になるほど徐放速度が大きくなるが,メントールの徐放速度に対する湿度の影響は小さく,ヒノキチオールでは湿度の影響がほとんど見られないことが知られている。分子力学計算によりこれらのゲスト物質とβ-CDとの包接化合物の構造とエネルギーを求め,さらにそれらの包接化合物に水分子が包接される場合の構造とエネルギーを求めた。その結果,各ゲスト物質の包接化合物中に取り込まれる水分子の個数が増すほどエネルギーが安定となること,従って水分子が包接された化合物ができやすいことがわかった。また,各ゲスト物質の徐放の反応座標に対するポテンシャル曲線を求め,徐放に対する活性化エネルギーを求めた。その結果,活性化エネルギーは水分子の個数が変化しても余り変化せず,その大きさは,小さいものからAITC,リモネン,メントール,ヒノキチオールの順になった。この結果は各ゲスト物質の徐放速度の順を説明できるが,湿度により徐放速度が大きくなることは説明できない。そこでポテンシャル曲線の形状に着目すると,どのゲスト物質についても,包接される水分子の個数が増すにつれ,曲率が大きくなり,安定な領域が狭く急峻なポテンシャルとなっている。遷移状態理論に基づいて考察すると,この形状の変化は水分子の個数が多い方が徐放過程におけるエントロピー変化が小さくなり,徐放速度が大きくなる傾向があることを意味する。このため湿度が高い方が徐放速度が増すと考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Tetsuo Suzuki: "Dependence of Thermal Stabilizing Effect of Sugars on Freezing Temperature"Proceedings of the 12th International Drying Symposium IDS 2000. (2000)

  • [文献書誌] 鈴木哲夫: "凍結乾燥技術"(株)技術情報協会(印刷中).

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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