一般に、粉体の乾式操作は粒子の帯電現象を伴う。電子写真、粉体塗装、静電分級といった分野では、この帯電を積極的に利用している。一方、粉体製造、粉体輸送、半導体製造、液晶パネル製造といった分野では、粉体の帯電がトラブルの原因となっている。粉体の帯電を積極的に帯電したり、粉体の帯電によるトラブルを防止するためには、粉体の帯電特性を定量的に評価することが必要不可欠である。しかし、現在のところ粉体の帯電現象の制御は経験的に行われているのが実状である。粉体が接触・分離を繰り返しながら摩擦帯電する時、粉体の基礎物性(粒子径、粒子形状、比表面積、力学的特性、表面性状など)や粉体の乾式操作を行う環境条件(温度、湿度)などの影響を大きく受ける。これらの因子が摩擦帯電量に及ぼす影響について明らかになれば、粉体の帯電量を推定できると考えられる。本研究では、これら諸因子が帯電に及ぼす影響について理論的・実験的に検討を行い、粉体の帯電が関与するプロセスにおいて実用できる帯電量推定モデルを提案することを最大の目的とする。 平成11年度における研究では、粉体の摩擦帯電現象に及ぼす操作環境条件の影響について、フェライトコアの表面にシリコーン樹脂をコーティングした試料粉体を用いて検討を行った。その結果、最大摩擦帯電量の絶対値は、相対湿度が減少するにつれて増加し、相対湿度30%以下において急激に増大することがわかった。また、粉体の前処理方法により得られる帯電量は異なり、粉体の履歴が重要であることを指摘した。
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