本実験に使用する降伏応力をもつ液体として、0.05、0.10および0.15wt%Carbopol水溶液を用いた。これらの液体は比較的大きな降伏応力を持つことが測定されたが、得られた剪断応力と剪断速度との関係はビンガムモデルで表すよりもHerschel&Bulkleyのレオロジーモデルで表す方がよりよく相関できた。 以上の溶液を小型容器に仕込み、容器底部の単一ノズルから窒素気泡を均一生成状態で吹き込んだ。ノズル下部の蓄気室に設置された微差圧センサーにより、気泡生成時に蓄気室内で生じる圧力変動から気泡発生頻度を計測し、供給ガス流量との関係から生成気泡容積を算出した。同様の実験について、液濃度の影響(主に降伏応力の影響)ノズル孔径、蓄気室容積およびガス流量をパラメータとして各条件で気泡容積の測定を行った。また同時に、高速度ビデオカメラによる気泡生成状態の撮影を行い、各種操作パラメータが気泡形状に及ぼす影響について検討を行った。 気泡容積はガス流量、降伏応力およびノズル孔径の増大とともに増加した。また気泡形状はニュートン流体中で観察される球形に近い形状に比べ、縦に引き延ばされた逆ティアドロップ形に近い形状を示した。 以上で得られた実験的知見をもとに、Herschel&Bulkleyモデルに従う液体中にも対応できるように修正した非球形気泡生成モデルにより、ノズルから生成する気泡の成長曲線、蓄気室圧力変化および気泡形状の推移のシミュレーションを行った。モデルにより推定された結果は実測値を比較的よく表すことができた。これにより、使用する液体のレオロジー特性や物性、装置条件および操作条件が予め設定できれば、実験をすることなくノズルから生成する気泡の大きさと形状を予測することが可能になった。よって次年度は搭型の装置に変更し、適切なガス分散器の設計を行い、分散器から生成後の気泡の挙動および気泡からの液中への酸素移動現象の解明に着手する。
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