本研究では、超臨界水中での金属酸化物微粒子の成長機構の解明を最終目的とする。ここでは、電気伝導度測定による各種溶存金属水酸化物イオン種の拡散係数の評価およびin-situ分光法の手法により溶解度測定を行い、拡散係数および過飽和度により、結晶成長速度の定量的なモデル化を行うものである。今年度は、各種測定装置の製作を行った。 (1)高温高圧電気伝導度測定 高温高圧用電気伝導度測定用セルの開発を行った。開発目標としては電極のシール方法、電気的測定の健全性に置いた。その結果、高温高圧化でのセラミックなどの絶縁体によるシールは困難であり、シール部は低温下で行う必要があることがわかった。また、常温常圧条件でも反応管表面からの金属溶出の影響があり、表面のコーディングが必要であることがわかった。セル内壁のテフロン・コーティングおよびテフロンシールにより、<200℃まで測定が可能なセルを製作できた。 (2)溶解度測定 現有のin-situRAMAN散乱分光装置による金属酸化物の硝酸水溶液中への溶解度の測定を行った。常温常圧に限らず、高温高圧条件での報告例が豊富な硝酸亜鉛水溶液をモデル物質として用いた。低pH値および高pH値条件では、それぞれ(Zn2+)(NO3-)のZn-N結合由来のピークとZn(OH)3-のZn-O由来のピークが観察された。しかし、中性領域の低濃度条件ではピークの同定が困難であった。これは、水酸化物由来のピークが100cm-1以下にあり、レイリー光のピークの裾シフト位置に存在するためである。検出器光学系を調整し、低シフト領域の測定を可能する必要があることがわかった。
|