金属塩水溶液を超臨界水中で水熱合成反応させることで数nm〜数10nm程度の超微粒子が合成できる。本研究では、これらの超微粒子の生成過程と成長の理解とその現象の定量的な評価を目的する。 硝酸セリウム、硝酸アルミニウム、硝酸コバルト、硝酸ニッケル水溶液を原料として、反応温度、圧力、濃度、pH、反応時間を変えた幅広い実験を行い、生成した粒子の特性(粒子径、分布)と反応条件の関係について整理をおこなった。その結果、生成した粒子径は、金属イオン種の依存性がみられた。超臨界条件でのそれぞれの金属酸化物の溶解度は10^<-5>〜10^<-6>程度と金属イオン種間の差は小さく、過飽和度だけでは、金属種ごとの粒子径の違いが説明できない。しかし、超臨界領域に到達するまでの溶解度変化は金属種によって数桁以上異なっていることがわかった。 以上の結果から、超臨界水中での水熱合成反応においては、粒子特性は、その反応場における溶解平衡だけではなく、反応温度に到達するまでの溶解度の変化によって支配されていることが示唆された。現時点で本現象の理解を進めるためには、非常に短い時間での化学反応速度の評価を行うこと、および、昇温過程における温度履歴の定量化が重要であることがわかった。
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