1.擬似移動層型クロマトグラフィックリアクターを用いたラクトスクロース製造実験グルタルアルデヒドを用いてβ-フルクトフラノシダーゼをイオン交換樹脂に固定化したものをカラムに充填し、擬似移動層型クロマト分離装置の回転ディスク側に取り付けた。この擬似移動層型クロマトグラフィック固定化酵素反応器に、ラクトースとスクロースの混合溶液を供給し、ラクトスクロース合成を行った。原料供給口から順に固定化酵素カラムを設置し、その本数が製品収率に与える影響を調べたところ、最適な本数が存在することがわかった。カラム切替周期についても最適値が存在した。これらの条件を同一にして3通りの固定化酵素カラム長で実験を行ったところ、ある長さ以上では製品収率はほぼ一定となる傾向が認められた。 2.擬似移動層型クロマトグラフィックリアクターを用いたラクトスクロース製造の数値解析固定化酵素カラムを組み込んだ擬似移動層型反応器をシミュレートする数値モデルを開発し、昨年度得られた吸着平衡定数、物質移動係数、反応速度式を用いて、擬似移動層型クロマトグラフィックリアクターを用いたラクトスクロース製造の数値シミュレーションを行なった。数値シミュレーションの結果、原料濃度が低い領域での反応速度式の精度が悪いことが判明したため、シングルカラムでの反応実験を追加し、より適用範囲の広い反応速度式を求めた。改良された反応速度式を用いて擬似移動層型クロマトグラフィックリアクターの数値シミュレーションを行い、最適製造条件を探索した。固定化酵素カラム長さの影響を詳細に検討したところ、実験では収率一定と見られた領域に製品収率を最大とするカラム長が存在することがわかった。これは、分離カラムと反応カラムでの液滞留時間が等しくなる点であることが明らかとなった。
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