研究概要 |
燃料電池の原料ガスに用いられる水素の供給源として、メタンの水蒸気改質ガス反応が注目されているが、大きな吸熱反応であるため、発熱反応であるメタンの部分酸化反応を併用した水素を供給が期待されている。そこで、本研究では高活性な触媒を得ることを目的として、超微粒子ジルコニア-セリア固溶体担持NiO触媒を用いて、メタンの部分酸化特性を検討し、触媒物性を検討した。 まず最初に、通常のジルコニア担体にセリアとNiOを同時に含浸担持した触媒を用いて、部分酸化反応を行ったが、ジルコニア担持NiO触媒よりも活性は低かった。また、ジルコニア担持NiO触媒を超微粒子セリアで修飾しても活性に変化なかった。一方、高表面積な超微粒子ジルコニア-セリア固溶体にNiOを含浸担持すると、ジルコニア担持に比べ低温での活性が著しく上昇した。高表面積により、Niが高分散したこともその一因となった。また、このとき、SV30,000h^<-1>という高流速条件でも、生成ガスの組成は、メタンの部分酸化反応がメタンの燃焼の後改質反応が起こったとしたときの平衡組成とほぼ同じであった。 さらに、ジルコニア-セリア固溶体担体の昇温還元スペクトルを測定した。NiOの担持により、固溶体の還元温度が低下した。その際、NiOの還元が始まる前に固溶体が還元されるので、見かけ上NiO粒子からの水素スピルオーバーが起こっていることになった。固溶体のセリアの濃度上昇に伴い部分酸化活性は向上し、固溶体からNi粒子への酸素の供給が示唆された。固溶体に担持したNiOの還元のピークがブロードで担体との相互作用の大きな触媒は安定した活性を示したが、相互作用の小さなNi触媒は、コーク(カーボンナノチューブ)を多量に生成した。
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