研究概要 |
本研究の目的はハーフメタロセン型チタン錯体触媒によるオレフィンのリビング重合手法の開発と、錯体触媒による重合機構に関する基礎研究である。より具体的には、非架橋型のシクロペンタジエニル(Cp)-アリロキシチタン錯体触媒をモデル錯体として、リビング重合の可能性や触媒の作用機構に関する基礎研究を行うことを目的としている。 平成11年度の主な研究成果は以下の(1)-(3)である。(1)上記目的の基礎研究である非架橋型Cp-アリロキシチタン錯体触媒を用いて、各種オレフィン重合における触媒活性への配位子上の置換基効果に関する検討を行い、錯体の電子状態のみならず使用するオレフィンのかさ高さも触媒活性へ大きく影響することが明らかと成った。(2)MAO(メチルアルミノキサン)助触媒存在下、(C_5Me_5)TiCl_2(O-2,6-^iPr_2C_6H_3)錯体触媒による1-ヘキセンの重合において、反応初期にリビング的に重合が進行していることが明らかとなった。さらに対応するジメチル錯体は、有機アルミニウム/ホウ素系助触媒の存在下、低温でリビング的に重合が進行し、分子量分布の狭いかつ高分子量ポリマーを与えることが明らかとなった。現在、反応条件の最適化と触媒の作用機構に関する基礎研究を行っているところである。(3)今回検討した、非架橋Cp-アリロキシチタン錯体触媒は、エチレンと各種α-オレフィンとの共重合に有効で、効率的にコモノマーを取り込むことがわかった。
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