研究概要 |
本研究はイネ培養細胞、あるいはタバコ培養細胞BY-2を用い、その化学的、物理的あるいは生物学的ストレスシグナルに対して発現する遺伝子を具体的な対象遺伝子とし、この遺伝子発現を指標として細胞内情報伝達のリアルタイム解析を目標としている。今年度は次の項目を実施した。 1.多機能型微小電極の高性能化:先端直径0.1μm以下、先端から50μmまでの直径10μm以下にすることができるようになったが、再現性という点では問題が残った。 2.プラスミド細胞内導入量の定量化:実験材料としてイネ培養細胞を用いた。カリフラワーモザイクウィルス35SRNAのプロモーターにグリーン蛍光タンパク質(GFP)を結合したプラスミドを(p35S-GEP)を加圧法によりイネ培養細胞に導入した。その結果、一日後にはGFPの蛍光が観察された。 次に、導入する遺伝子として、ストレス応答性遺伝子であるキチナーゼ遺伝子のプロモーター領域にGFPのcDNAを挿入したプラスミド(pCHI-GFP)を用いた。pCHIーGFPを細胞に導入した12時間後に化学的ストレスシグナルを与えたところ、約22%の細胞からGFPの蛍光が観察された。 3.新規ストレス応答性遺伝子の検索:これまでにストレス応答性遺伝子として知られているpin,PALについて調べたところ、キチナーゼの発現パターンとは異なり、全く誘導されなかった。そこで新たな遺伝子を検索するため、ディファレンシャル・ディスプレイ法を用いて調べた。その結果、複数の遺伝子が発現していることがわかった。
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