研究概要 |
4℃という生化学物質の精製に適した温度でアフィニティ精製を行うことのできる新規な温度応答型抗体を開発し、この抗体を利用するためのバイオプロセスを開発するために、低温域温度応答性高分子(Poly-acryloyl piperazine)を開発し、この高分子体へ多くのIgGのFc領域を結合させたアフィニティ吸着体を調製した。平成11年度に行った内容を記す。 1)低温域温度応答型高分子の開発 その高分子が4℃に相転移温度を有するモノマーAcryloyl piperidine(AP)とLigandを固体化するための側鎖を有するMethacrylate(MA)を共重合することにより、高分子側鎖にカルボキシル基を有する共重合体,Poly(AP-co-MA),を調製した。さらに、高分子調整時に各モノマーの比を調節することにより、数種の共重合体を調製し、最適モノマー比およびその特性を決定した。 2)ヒト免疫グロブリンGのFc領域の調製 市販されているヒト免疫グロブリンG(IgG)をPapainを用いて加水分解することによりFab領域とFc領域に切断した。その後、Fab領域とFc領域を含む混合液をゲルクロマトグラフィーなどを行うことにより分画し、Fc領域のみを回収・濃縮し、精製した。 3)低温域温度応答型抗体の調製 1)で調製したPoly(AP-co-MA)のカルボキシル基と、2)で調製したヒト免疫グロブリンG(IgG)のFc領域を水溶性のカルボジイミドを用いた酸アミド結合により、低温域温度応答型抗体を調製した。また、このときの高分子重量当たりのFc領域が最大となる固定条件を決定した。 平成12年度は調製した低温域温度応答抗体の特性を検討し、Protein Aのアフィニティ沈殿へ利用することを検討する。
|