本研究では人工肝臓の構築を目的として、新たに開発した細胞支持体(Polyurethane Membrane:PUM)を利用した肝細胞の高密度培養行った。 PUMは非発泡性のポリウレタンで、不均一なスポンジ状構造をとっている。PUMは肝細胞を捕捉する微小孔(径35μm以下)と細胞の効率的な充填を可能にする巨大孔(径100μm以上)とがバランス良く配置されている。直径30mm、厚さ6mmのディスク状に整形したPUMを筒型ホルダーにセットし、バイオリアクター(人工肝臓モジュール)とした。ここに細胞密度が1〜5×10^7cells/cm^3-PUMとなるようにラット肝細胞を充填したところ、細胞充填密度1〜5×10^7cells/cm^3-PUMの肝細胞の充填操作を5分以内に完了することができた。このときの細胞の固定化率はいずれも95%以上となり、極めて高いものであった。 本リアクターにより、細胞充填密度2×10^7cells/cm^3-PUMで灌流培養した結果、肝細胞の特異的機能である、アルブミン分泌能、尿素合成能、及びアンモニア除去能の発現が確認された。これらの活性は7日間持続した。リアクターでの単位細胞あたりのアルブミン分泌能は、対照として行ったコラーゲンコートディッシュ上での単層培養の約50%であった。
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