1.人工光を用いた屋内試験において、緑藻の増殖速度が培養細胞密度により顕著に変化することを確認し、緑藻生産性が最大となる最適細胞密度でタービドスタット培養を行うことで高い生産性を維持して連続培養が可能となった。 2.タービドスタット培養の長所として最大比増殖速度付近の高い希釈率の連続培養においても細胞のウオッシュアウトが起きない点、短所として栄養源制限などにより増殖速度を抑えた培養に適用することは困難である点が挙げられる。緑藻の貯蔵物質である澱粉を食料・バイオマス資源として適用するためにタービドスタットを窒素源制限による増殖抑制条件下において適用することを試みた。 3.タービドスタット培養において、単一窒素源濃度の培地のみの供給では増殖抑制状態への移行は可能であったが最終的には増殖が停止し抑制状態での連続培養は不可能であった。そこで高低の2種類の窒素源濃度の培地を細胞の増殖抑制の度合いに応じて供給するプログラムを作成した。 4.このプログラムによりタービドスタット培養においても任意の増殖抑制状態を持続して連続培養が可能となり最適な光照射条件が得られる細胞密度の維持と高濃度の澱粉蓄積条件により、高い澱粉生産性を達成することが可能となった。 5.今後は、この澱粉の連続生産システムを屋外の光強度の変動する条件下において構築するためにプログラムの改良、培養方法の検討等を行っていく予定である。
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