研究概要 |
合成高分子(スマートポリマー)の刺激応答特性,および,生体高分子(タンパク質,さらには,リン脂質などの生体膜成分)の刺激応答特性との協同効果を利用した.(i)刺激認識・応答性生体複合材料および(ii)それを利用した環境調和型バイオプロセスの設計・開発について検討した.具体的には以下の成果が得られた. (1)合成高分子の刺激応答特性と生体高分子との分子間相互作用の解析 設定条件(例えば,温度,pH)で,鋭敏・迅速に構造を変化する刺激応答性高分子を合成した.リポソームクロマトグラフィー,CD・UV分光光度計,および疎水性蛍光プローブを用いて,合成高分子(スマートポリマー)の(i)相分離挙動,あるいは(ii)疎水的なナノ構造ドメインの特性やその形成速度などの刺激応答性を定量的に評価・解析した. (2)合成・生体高分子の刺激応答特性を高度利用したバイオプロセス 刺激応答性に関する知見に基き,刺激応答型の水性二相系を高度利用したリフォールディングプロセスへの応用の可能性について検討した.両高分子の刺激応答を組み合わせて利用することで,対象物質の(i)認識(集合体形成),(ii)改変(活性化・リフォールディング/不活化・分解),(iii)集合体の解離を制御可能であり,生体細胞様の構造・機能を有する高分子集合体の調製可能である事が示された.以上の知見より,生体細胞様分子集合体を高度利用する事で,従来型バイオプロセスと比較して,高効率・低エネルギーで物質変換が可能な新規なバイオプロセスの設計・開発へと応用できる事が示された. 以上の成果は,国際会議を含む学会で口頭・ポスター発表すると共に学術論文として公表しており,国内外で成果が認められている.
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