研究概要 |
Pseudomonas syringae pv.phaseolicola PK2株由来エチレン生成酵素(EFE)は酸素感受性の自殺方酵素である。本菌株のEFE遺伝子を高発現ベクターpKK223-3に連結したプラスミドpKEFE1で形質転換した大腸菌、E.coli JM109をLB培地を用いて培養し、菌体を超音波破砕後、ストレプトマイシン処理、DEAE-Sepharose CL-6B,Bio Gel HTPカラムクロマトグラフィーの順番でカラムを使用することでSDS-PAGEで純度の高い酵素標品を得ることが可能となった。しかしEFE抗体を用いたウェスタンブロッティングの結果から標品中の一部のEFEが分解していることが示唆された。酵素精製にかかる時間の短縮化のため、各種HPLCカラムを使用したが上述の精製法同様、酵素の分解を防ぐことができなかった。本酵素標品を用いて種々の沈殿剤、溶媒を使用して結晶化を試みているが、硫酸アンモニウムなどの沈殿剤の添加により、酵素溶液がすぐに白濁してしまい、結晶化には至っていない。 一方、機能改変の分子設計としては我々のEFEの一次配列に相同性を持つタンパク質が結晶化されたことからその結果を元にして酵素と基質の結合場所を配列上で確認した。その結果、EFEでも保存された配列が数箇所認められたので、5箇所に部位特異的変異を導入し、エチレン生成酵素活性に及ぼす影響の検討を行った。その結果、ほとんどの変異導入で酵素活性が失われたものの、1箇所だけ野生型の酵素に比べて4倍の比活性を持つ酵素を構築する変異を導入することが出来た。しかしこの変異型酵素は野生型以上に不安定であり、透析、凍結操作後、完全に失活してしまった。現在、酵素の安定な精製方法について検討中である。
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