DNA修飾超微粒子の調製 表面にカルボキシル基を導入した直径約40nmのポリスチレン製のナノスフェア(蛍光色素が含浸させたある)と5^'-末端にアミノ基を有するオリゴヌクレオチドを水溶性のカルボジイミドを用いてアミド結合を形成させることによりカップリングさせ、DNA修飾ナノスフェアを調整した。 微粒子凝集の塩濃度依存性 RNA存在下、DNA修飾ナノスフェアの凝集挙動を観察した。修飾オリゴヌクレオチドと相補的なRNAであるpolyA存在下、スフェア分散溶液の塩濃度を徐々に上昇させ光の透過を観察した。その結果、NaClが1Mを越える辺りから急激に、しかも再現性良くスフェアが凝集することが判った。前述のとおり、RNA非存在下では全く凝集が見られない。さらに、コントロール実験としてpolyAと同濃度のpolyU存在下でも同様の実験を行ったが、この場合も少なくとも2Mまでは凝集を確認することはできなかった。 微粒子凝集の温度度依存性 塩濃度1.1Mの条件下、凝集の温度依存性を観察した。相補的なpolyA存在下でのみ凝集が観察され、温度変化に伴う可視光の透過度変化は非対称なU字型を描いた。すなわち、DNA修飾ナノスフェアはある温度範囲でのみ凝集し、その範囲より温度が高くても低くても分散状態であることになる。この特異的な温度特性は尿素を添加することで完全に抑制され、測定温度範囲では全く凝集が観察されなかった。 蛍光顕微鏡観察 相補的でないRNA、polyU存在下ではスフェアは完全に分散しており、それぞれのスフェアのブラウン運動が嘉観察された。一方、分光学的検討により凝集が示唆されているpolyA存在下、溶液は濁ったように見え、これを顕微鏡で観察すると凝集体を観察することができた。蛍光顕微鏡による観察はスフェアの分散溶液が僅か1μlであれば充分であった。これは、本法の実用化を考えた場合たいへん有利な点である。
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