in situマイクロコンダクトメトリー法の開発と電池活物質粒子への展開

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11750708
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 西澤 松彦 東北大学, 大学院・工学研究科, 講師 (20273592)
• キーワード: リチウムイオン電池 / 非晶質カーボン / インターカレーション / マイクロ電極 / マイクロアレイ電極 / 電気伝導度s

研究概要

各種マイクロ電極を用いた電気伝導度のその場測定システム(in situマイクロコンダクトメトリー)を開発し、電池活物質粒子1個およびそのコンポジット薄膜に適用した。
低温焼成メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)をガラスセパレーターの細孔に固定し、顕微鏡観察下で針状マイクロ電極2本を標的粒子に接触させて電位-電流プロファイルと電位-導電度プロファイルを同時に得た。リチウム挿入量に対応させて導電度の変化を解析した結果、非晶質カーボンには異なるリチウム挿入機構が存在し、初期の25%は層間以外、その後はグラファイト類似のインターカレーションが進行することが示唆された。このリチウム挿入機構の変遷はポテンシャルステップ法で決定したリチウムイオンのカーボン内拡散係数の変化からも矛盾なく説明できた。
上述したMCMB単一粒子の特性を踏まえて、実用形態であるコンポジットフィルムの導電度測定にも挑戦した。フォトリソグラフィーでSiO^2/Si基板上に白金の交互型マイクロアレイ電極を作製し、これをMCMB粒子のコンポジット薄膜(膜厚約20μm)で被覆した。導電助剤添加量の異なる薄膜サンプルについて、バイポテンショスタットを用いて充・放電反応を繰り返し行い、電位-導電度プロファイルの変化を追跡することが出来た。膜内で活物質粒子間の電気的ネットワークが崩壊して行く過程を捕らえることに成功し、導電ネットワーク保持のための最適な薄膜調製条件を提案できた。

研究成果

• [文献書誌] M.Nishizawa: "In situ Conductance Measurement to Investigate Roles of Conductive Additives in Lithium lon Battery Electrodes"Electrochemistry Communication. 1. 375-378 (1999)
• [文献書誌] M.Nishizawa: "Electrochemical Quartz Crystal Microbalance for Insertion/Extraction of Lithium in Spinel LiMn_2O_4 Thin Films"Langmuir. 15. 4949-4951 (1999)
• [文献書誌] M.Nishizawa: "Microelectrode Techniques for in situ Measurements on Electrical Conductance of a Carbon Particle and Its Composite Film during Electrochemical Insertion/Extraction"Journal of Physical Chemistry B. 103. 192-196 (1999)
• [文献書誌] M.Nishizawa: "Microelectrode-Based Characterization Systems for Advanced Materials in Battery and Sensor Applications"Electrochimica Acta. 44. 3629-3637 (1999)
• [文献書誌] M.Nishizawa: "Microelectrode-Based Characterization Systems : Application to Lithium lon Battery Materials"Electrochemistry. 67. 420-426 (1999)
• [文献書誌] M.Nishizawa: "lon-and Electron-Transport Properties of a Single Particle of Disordered Carbon during the Lithium Insertion Reaction"Journal of Physical Chemistry B. 103. 4933-4936 (1999)