研究概要 |
LiMn_2O_4はスピネル構造を有しており、そのリチウム二次電池特性を有している。このスピネル酸化物のMnの1/4をNi,Mgで置換したLiM_<0.5>Mn_<1.5>O_4を合成し、その酸化物中へのリチウムのインターカレーション反応を検討した。X線回折およびIR測定の結果、置換した金属イオンM^<2+>とMn^<4+>は三次元的に1:3に規則配列し、超格子構造を形成することが分かった。このLiM_<0.5>Mn_<1.5>O_4へのリチウムのインターカレーションの際に、Li_<1+x>M_<0.5>Mn_<1.5>O_4なる組成に対して0<x<0.25のリチウム組成範囲では3V程度の平坦な電位を示し、その後0.25<x<1.0のリチウム組成では2V程度の電位へと大幅に低下した。まず、Born-Mayer型のポテンシャルを仮定し、空の八面体サイトのポテンシャルを計算したところ、ポテンシャルの若干低い位置と若干高い位置が1:3の比で存在するとが判明した。このような規則配列したポテンシャル下におけるリチウムイオンの拡散を分子動力学法を用いて解析した。その結果、0<x<0.25の組成範囲では、リチウムイオンはポテンシャルの若干低い位置にインターカレートし、リチウムイオンも規則配列した相を形成する。その後、さらにリチウムイオンイオンはポテンシャルの若干高い位置にインターカレートし、リチウムイオンが八面体位置にランダムに存在することが判明した。従って、超格子を形成したLiM_<0.5>Mn_<1.5>O_4へのリチウムイオンのインターカレーションによる電位挙動の変化は、空の八面体位置のポテンシャルの規則配列に起因するものと考えられる。
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