ガラスの結晶化過程を支配する核生成挙動を調べることを目的として、DTAを用いることによりガラス中に存在する核の量の評価を試みた。ガラス中に存在する核の量が多くなると、結晶化が速く進行する。この結晶化の変化をDTA測定によって検出するのが目的である。ガラスの結晶化に伴う発熱ピーク温度をTcとしてガラスの結晶化挙動を特定するパラメータとして用いた。実験には均一核生成を起こすことが知られている、Na_2O-SiO_2系のメタシリケート付近の組成を用いた。 SiO_2濃度が51〜58mol%までのガラスについて410〜470で熱処理を最大24時問行った。SiO_2濃度が51〜57mol%までのガラスは熱処理時間を長くするに従いTcが低下した。これはTcが核生成量の変化をよく表していることを示す。58mol%のガラスではTcに変化がみられなかった。Na_2O-SiO_2系はダイシリケート組成では表面核生成しか示さないと報告されており、メタシリケート組成からSiO_2濃度が上昇するにつれて均一核生成を起こしにくくなると推測される。今回の結果から均一核生成が支配的な組成が58mol%以下であるとわかった。 均一核生成を示す組成において、熱処理温度を変えて一定時間の熱処埋を行ったところ、1時間の熱処理では440℃でTcの低下が最大であったが、熱処理時間が長くなるに従いその温度は低下し、24時間の熱処理では410℃でTcの低下が最大となった。この現象は定常核生成に至る誘導時間の温度変化から説明することができ、410℃において核生成がもっとも盛んになることがわかった。
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