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1999 年度 実績報告書

ガラスの熱履歴と機械的性質に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 11750730
研究機関滋賀県立大学

研究代表者

吉田 智  滋賀県立大学, 工学部, 助手 (20275168)

キーワードガラス / ホウ酸塩 / 熱処理 / 密度 / 屈折率
研究概要

今年度は,市販のソーダ石灰ガラスとナトリウムホウ酸塩ガラスについて,融液状態の熱処理がガラスの密度・屈折率に与える影響を検討した.その結果,融液状態においてガラスの中距離構造が形成されることを示唆する結果が得られた.その概要を以下に示す.
1.ソーダ石灰ガラスをガラス転移温度よりも高い温度(800℃〜1100℃)で熱処理した後,10^<-2>K/sec,10^<-1>K/sec,水冷(約10^3K/sec)の3種の冷却速度で融液を冷却しガラスを作製した.ガラス形成時の冷却速度が同じであるにも関わらず,10^<-2>K/secの冷却速度では900℃以上の熱処理で密度が高いガラスが得られ,水冷して得られたガラスでは900℃での熱処理で最も密度が小さいガラスが得られた.熱処理をしたすべてのガラスはX線的にアモルファスであった.
2.2成分ナトリウムホウ酸塩ガラスについても同様に,ガラス転移温度よりも高い温度(500〜900℃)で熱処理を行い,10^<-2>K/secの冷却速度でガラスを作製した後,密度,屈折率の測定を行った.密度,屈折率いずれのデータも特定の熱処理温度で極大を示した.また,その極大温度は組成依存性を示し,対応する結晶相の液相温度と相関が見られた.熱処理をしたすべてのガラスはX線的にアモルファスであった.
以上の結果は,液相点近傍での熱処理により,ガラスではありながらより結晶に近い中距離構造を有するガラスが得られたためであると考えた.ガラス中に密な構造が現れることで,冷却速度の大きい場合はそれ以外の構造がより「粗」になり密度が低下し,冷却速度が小さい場合は,その「密」な部分の影響で密度が増大したと思われる.今後は赤外吸収測定などの分光学的手法により,融液の熱処理がガラスの中距離構造に与える影響を評価していく予定である.

URL: 

公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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