研究概要 |
ルイス酸を用いたニトリルオキシド付加環化の立体制御に初めて成功した。すなわち、(S)-フェニルアラニンから新規に開発したキラルなオキサゾリジノン不斉補助基を有するアクリルアミド親双極子,N-アクリロイル-4-ベンジル-5,5-ジメチル-1,3-オキサゾリジン-2-オン,と種々の置換ベンゾニトリルオキシドとの不斉1,3-双極子付加環化を行ったところ、ルイス酸無添加の場合にはほぼ1:1のジアステレオマー混合物として付加環化体が得られるのに対して、反応系中に1当量のMgBr_2,Yb(OTf)_3,Sc(OTf)_3を共存させることによって、95:5以上のジアステレオ選択性で対応するイソオキサゾリン誘導体を合成することに成功した。ベンゾニトリルオキシドには、電子供与性のp-メトキシル、電子求引性のp-クロロ、p-フルオロ、p-ニトロ基等を導入することも可能である。さらに、単独の使用ではジアステレオ選択性を充分には向上できないMg(ClO_4)_2やLa(OTf)_3を用いた反応においては、アルコール、アミン、エーテル、ケトン等の配位性化合物との組み合わせで使用することにより、ジアステレオ選択性を向上できることも見出した。さらに、ニトリルオキシドの発生する速度をコントロールすることによって、触媒量のルイス酸を用いた反応制御にも初めて成功した。 さらに、得られたイソオキサゾリン誘導体は、L-Selectrideを用いた還元的開裂反応やTi(OPr-i)_4とのエステル交換反応によって、不斉補助基の除去が可能であることも見出し、光学活性イソオキサゾリン化合物の新規不斉合成法の開発に成功した。
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