超臨界二酸化炭素を溶媒としたFriedel-Craftsアシル化反応と、これを用いたポリエーテルケトンの合成について検討した。四塩化スズをルイス酸としたアニソールと塩化ベンゾイルの縮合反応では、反応開始時に均一相となり、反応の進行に伴い黄色の液体が析出してくることが観察された。生成物とルイス酸が錯体を形成し、これが二酸化炭素に不溶なためと考えられる。生成物の収率は二酸化炭素の圧力の影響を受け、反応温度35℃では圧力120kgf/cm2において収率80%で最大となった。120kgf/cm^2より高圧側では生成物の収率が急激に減少し、140kgf/cm2では収率約20%となった。圧力一定下で反応温度を変化させても収率に大きな変化はみられなかった。一般に強いルイス酸とされる塩化アルミニウムは超臨界二酸化炭素に溶解せず、モデル反応における収率は四塩化スズを用いた場合より低かった。 二官能性化合物を用いてFriedel-Craftsアシル化反応によるポリエーテルケトン類の合成を試みた。ジフェニルエーテルとイソフタロイルクロリドを用いた重合では収率、重合体の固有粘度とともに低い値となった。ルイス酸としては塩化アルミニウムの方が重合触媒として有効であった。自己縮合型モノマーである3-フェノキシベンゾイルクロリドの重合では固有粘度約0.4dL/gの重合体が単離できた。収率は43%であり、反応条件(圧力、温度、ルイス酸の種類、量など)について検討中である。
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