研究概要 |
スチレン(St)とアクリルアミドモノマー(ヒドロキシメチルアクリルアミド(HMA)、アクリルアミド(AA),ジメチルアクリルアミド(DMA)イソプロピルアクリルアミド(IA))をソープフリー乳化重合して4種類のシード粒子を作製した。アミドモノマーの構造によって、表面の親水性が異なるシード粒子が得られた(HMA、AA、DMA、IAの順で親水性は高い)。これらを重合場としてヘキサンジブロマイドとプロパンジチオールの重縮合を行い、メルカプト基が固定された高分子微粒子を合成した。表面の親水性が高いHMA、AAをシード粒子にして重縮合を行うと、メルカプト基が固定された高分子微粒子を収率よく得ることができた。モノマーのジブロマイドに対するジチオールの量を多くするとメルカプト基の固定量は増加した。一方、親水性の低いジメチルアクリルアミドを用いた場合、条件によっては粒子が凝集しやすくなり、特にジチオールの添加量が多いと重縮合中に粒子はすべて凝集してしまった。さらに疎水性の高いイソプロピルアクリルアミドを用いた場合、重合条件を詳細に検討したが分散した粒子を得ることはできなかった。粒子表面の親水性が低いと、重縮合中に凝集しやすいことが分かった。表面構造によるメルカプト基の空気酸化のされやすさは粒子により異なった。親水性な表面を持つHMA、AAでは数カ月保存してもほとんど酸化は起こらなかったが、疎水性表面を持つDMAでは、1カ月半でメルカプト基の半分は酸化されており、粒子表面の構造が固定されたメルカプト基の反応性に影響を与えるという興味深い結果が得られた。
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