近年、DNAの自己組織化により、ナノメーターサイズの超分子構造体を構築したり、DNA鎖に沿って機能原子団を並べたりする試みがなされている。一方、糖鎖は、集合体となることでより強くレクチンに認識されることが知られている。これまでに様々な糖クラスターモデルが開発されてきているが、糖クラスターを自己組織化により構築した例はあまり報告されていない。そこで本研究では、オリゴDNAに糖を任意の位置で結合したコンジュゲートを合成し、それを半分ずらした相補鎖とハイブリダイゼーションさせることにより、一定の空間配置をもつ糖クラスターをDNA鎖に沿って並べることを検討した。 固相合成法にてガラクトースをもつオリゴDNA(20mer)を合成し、半分ずらし相補鎖とハイブリダイゼーションさせ、二重らせんを形成した。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子サイズを見積もったところ、半分ずらし相補鎖とハイブリダイゼーションさせることでDNA鎖が集合体を形成していることがわかった。次に、蛍光法によりFITC-RCA_<120>レクチンとの相互作用を検討したところ、DNAが自己組織化され糖クラスターを形成している場合、FITC-RCA_<120>に対してシグモイド型の濃度依存性を示して結合することがわかった。これは、糖クラスターが自己組織的に形成されるため、糖がレクチンに対して協同的に結合するためではないかと考えられる。これをHill plotにより解析したところ、結合定数K_a=5.5×10^4M^<-1>、Hill係数n=2.4と求められた。つまり、一つのレクチンあたり平均2.4個の糖ユニットが協同的に強く結合しているものと思われる。
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