研究概要 |
フッ素系ポリマーは、撥水性、撥油性が高く、優れた耐熱性、耐薬品性を示すことが知られている。一方、ポリカルボシランは最近、電子材料や、光学材料、耐熱性材料などとして研究され始めている。そこで本研究では、フッ素とケイ素の性質を併せ持つ新しい機能性材料を創製することを目指した。 まず、第一に、ケイ素上にフルオロアルキル基を持つシラシクロブタンを鍵モノマーとして合成することに成功した。アルゴル雰囲気下、ジエチルエーテル溶媒中ー78℃で1,1-ジクロロシラシクロブタンとヨウ化ペルフルオロヘキシルの等量混合物に2等量のメチルリチウムを添加することにより1-メチル-1-ペルフルオロヘキシルシラシクロブタンを高収率で合成した。また、同様に1-クロロ-フェニルシラシクロブタンとヨウ化ペルフルオロヘキシルの等量混合物に等量のメチルリチウムを添加することにより1-ペルフルオロヘキシル-1-フェニルシラシクロブタンを高収率で合成した。 次に、これらのモノマーの重合を検討した。その結果、1-メチル-1-ペルフルオロヘキシルシラシクロブタンは、塩化ロジウムトリストリフェニルフェスフィン錯体を触媒として用い100℃程度に加熱することにより重合し、ケイ素上にペルフルオロアルキル基を持つ高分子量のポリカルボシランを与ることがわかった。一方、1-ペルフルオロヘキシル-1-フェニルシラシクロブタンは、150℃に加熱しても分子量の低いオリゴマーを与えるのみであり、ケイ素上の置換基が重合反応性に大きな影響を及ばすことがわかった。
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