液体による表面の「wetting」や「dewetting」に関する研究に大きな関心が寄せられている。最近、本研究者は、「dewetting」による高分子薄膜の崩壊がランダムには起きないことを見い出だした。規則的なdewettingにより高い規則性をもつメゾスコピックサイズのパターン化したドット構造を形成することに成功した。そこで本研究では、ミクロ相分離構造を形成することが知られているブロックコポリマーをパターン化し、相分離に及ぼすメゾスコピック効果を検討した。 超希薄溶液を調整し水平な基板上にキャスティング、あるいは、ディップコーターを用いて基板をポリマー溶液から引き上げ、パターン形成をした。原子間力顕微鏡や光学顕微鏡を用いて、ドットパターンの微細構造を調べたところドットは層が重なったような構造になっていた。個々のドットサイズが大きくなるに従い、層の積層数が増加する。一層の厚みはすべて15nmであった。これはバルク中のラメラ間隔でほぼ同じである。ブロックコポリマーはそのODT(order-disorder transition)温度の上下でアニーリングすると、ドットは広がると同時に薄くなる。さらに、100℃で1時間アニーリングすると、フラクタルなdewetting構造ができた。
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