研究概要 |
二軸伸長プロセスである同時二軸および逐次二軸延伸過程を,He-Neレーザーを用いた複屈折計測装置,画像解析による形状変化をオンラインで詳細に解析した.結晶性高分子材料として材料物性データが豊富にあるポリエチレンテレフタレート(PET)を用い,二軸延伸機を用いて厳密に制御した温度,一定ひずみ速度条件下で伸長応力変化を測定し,同時にレーザーを利用したオンライン複屈折測定システムによって,様々な伸長温度およびひずみ速度下での位相差の変化を詳細に測定した.ひずみ硬化は温度・ひずみ速度に依存せず,ほぼ同じひずみで生じ,一軸延伸過程に比べて低ひずみを示した.また,等二軸延伸過程にも関わらず、ひずみ硬化が起こる前に、フィルム面内に光学異方性が生じ,この異方性はさらにひずみを増加させることによってほぼ消滅した.また,異方性が生じるひずみでの複屈折は約0.025であり,この臨界複屈折以下では応力光学則が成立することが示唆された.臨界複屈折0.025はひずみ速度および温度依存性を示さず,また一軸伸長過程でもほぼ同じ値を示すことが確認された。オフライン測定によるDSC測定,密度測定,広角X線回折やIR測定などによって,応力光学則から逸脱領域では結晶化が開始していると判明した.
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