POF(プラスチック光ファイバ)を光通信網に適用することにより、高速光通信網が安価に提供されることが示唆されて以来、大きな注目が集まっている。シングルモード・ガラスファイバ(コア径〜10μm)と比べ、コア径が大きい(コア径300〜1000μm程度)がゆえに、接続・取り扱いが容易である利点を有している。大口径であるPOF用の光デバイス開発には、これまでと異った設計・製作のコンセプトが必要となり、それらを明確にすることにより、新しい高機能光デバイスが低コストのもと実現可能となる。POF中における光波伝搬特性が明らかにし、有機材料の多機能性を活かした光デバイスを実現することは、21世紀に向けた高度情報通信社会実現に向けて、非常に重要な研究課題である。 今年度は、M^2ファクターという指標を導入し、POF中における光波伝特性の解明を行うために、新しい測定系の構築、評価実験及び理論解析までを行った。測定試料には、低NAステップインデックス型POFエスカメガ、エスガギガ、エスカプレミアム(三菱レイヨン製)、シングルモード・ガラスファイバ(NewPort製)を利用し、入射条件(入射NA、入射スポットサイズ等)、ファイバ長等の実験条件を変化させた場合のM^2値の変化を、NFP/FFPパターンとあわせて測定した。これまで、マルチモードファイバの光波伝搬特性(空間特性)を規定できる手法がなかったが、この指数を利用することにより、光波伝搬特性が明確に規定出来ることを示すことが出来た。 今後の研究課題としては、この指標をもとに、POF用の光素子設計コンセプトを確立するとともに、高機能光デバイスを実現することを挙げることができる。
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