本研究において、地球大気圏再突入飛行体周りに発生する強い衝撃波の反射現象を模擬するために、自由ピストン2段膜衝撃波管を用いて2次元くさび模型と非定常衝撃波の干渉の全放射発光観測を行った。初期圧力133Paの常温空気中に発生された衝撃波マッハ数15および25の強い衝撃波について、斜面角度8°〜28°の2次元くさび模型で観測が行われた。昨年度までの研究により、マッハステムの突出をもつ二重マッハ反射形態が確認され、本年度はその原因を特定すべく、更なる詳細実験を行った。理論解析結果および数値解析結果との比較も行った。また、発光場とともに密度場を観測するためにシュリーレン撮影を試みた。研究結果および実績をまとめると以下のようになる。 1)マッハステムの突出は斜面角度が20°付近で最大値をとり、その軌跡角はほぼ第2三重点の軌跡角と等しくなることが分かった。 2)理論解析結果と比較した結果、条件は異なるものの、第1三重点の軌跡角は完全気体の結果と平衡気体の結果の間の領域に実験結果が位置することが分かった。このことから、本実験結果を模擬するためには非平衡への対応が必要であることが考えられる。 3)数値解析結果と比較した結果、実験結果は二重マッハ反射であるのに対し、数値解析結果は遷移マッハ反射を示しており、第2三重点の軌跡に大きな差異が見られた。 4)密度場を観測するためにシュリーレン撮影を試みた。しかしながら、流れ場が低密度であること、強い輻射を伴うこと、光源レーザーの出力の弱さ、などの要因により、現時点では観測に至っていない。 高マッハ数特有の現象と思われるマッハステムの突出をもつ強い衝撃波のマッハ反射に関して研究を行った。その結果、理論的にも数値解析的にも非平衡性を考慮したアプローチが必要であることが明らかになった。本実験結果は高マッハ数流れ場を模擬する数値計算コードの検証には有効であることが分かった。
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