研究概要 |
閉鎖空間内において空気の温度差が大きい場合の流体解析にはBoussinesqの仮定が成立せず,低マッハ数の圧縮性を考慮する必要がある。さらにこの場合には流れは乱流状態になることが多く,数値計算には乱流モデルを使用することになる。このような問題に関する研究の第一段階として,圧縮性を考慮した乱流熱対流に対する数値解析を行った。このため,低マッハ数近似に基づく数値計算法を提案し,Favre平均に基づく圧縮性k-εモデルを採用した。この計算法を高温線熱源上のサーマル・プルーム現象に適用した。この結果とBoussinesq近似による計算値を既存の実験値および理論値と比較して,以下の結論を得た。 1)熱源の発熱量が小さい場合には,低マッハ数近似とBoussinesq近似による計算結果はほぼ一致しており,理論解析解にも合っている。したがって,この場合にはBoussinesq近似モデルにより計算で十分である。 2)熱源の発熱量が大きい場合には,上昇流は密度変化が大きい乱流状態になることから,低マッハ数近似モデルの解はBoussinesq近似モデルより実験データをよく再現している。この場合の解析には圧縮性を考慮した低マッハ数近似モデルによる計算が必要である。
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