本年度は以下に示す事項について研究を行った。 1.ボアホールレーダゾンデに平面波が入射した場合のマイクロアレー信号の理論計算 モーメント法を用いて任意の到来方法および偏波状態で坑井に平面波が入射した場合の各アンテナ素子での受信信号を理論計算するプログラムを開発した。さらに、岩塩中のアンテナ実験結果と本理論計算結果を比較したところほぼ一致し、本プログラムが妥当であることを示した。 2.光電界センサを用いた坑井内マイクロアレー信号の取得 マイクロアレー用光電界センサを既製品の光電界センサヘッドを改造することにより試作した。さらに、本光電界センサを用いた簡易型のボアホールレーダゾンデを試作した。さらに、大学構内に造成したフィールド実験場で光電界センサアレーが指向性性ボアホールレーダとして動作することを確認した。比誘電率ε_1=20の土中にある坑井内に、アクリルパイプ表面に固定した光電界センサを挿入した。アクリルパイプを回転せせることにより、円状に光電界センサが配列されているのと同等のデータを取得した。クロススペクトルを用いた各アレー素子間の波の遅延時間、減衰を推定したところ理論結果をほぼ一致し、波の到来方法を示していることを示した。 上記により、光電界センサを用いて指向性ボアホールレーダを構築し、理論モデルを用いた超解像アレー信号処理を施すことにより、地下き裂計測が行える可能性があることがわかった。一方、当初予定していた狭帯域信号のための超解像アレー信号処理法の開発、及び光電界センサを用いた実フィールドでのき裂などの計測までは至ることができなかった。これは、光電界センサヘッドの改造に数ヶ月を費やしたためであり、上記は来年度の課題となる。
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