研究概要 |
本研究では、まず、研磨剤として用いられている炭化ケイ素の微粒子を含有した切削・研磨屑から炭化ケイ素を分離回収する浮選プロセスの構築を将来の目標とし、炭化ケイ素浮選における金属イオンの役割を検討した。 まず、炭化ケイ素粒子の陰イオン性捕収剤を用いた場合の浮選における金属イオンの影響を検討した。用いた金属は,銅、マンガン、マグネシウムなどである。金属イオン無添加の場合、炭化ケイ素の浮遊は酸性pH領域でのみ認められるが、金属イオンを添加すると、添加した金属イオンによりあるpH域で活性効果が認められた。 次いで、上記浮選現象について、粒子表面と捕収剤などの浮選剤との反応性を把握するうえで最も重要と考えられる粒子表面の酸塩基特性・反応性と関連づけ、表面錯体形成反応モデル(Surface Complexation Model,SCM)を用いて検討を行った。界面動電位の測定、酸ー塩基滴定、及び、金属イオン吸着量測定などの結果から、SCMパラメータとして、K^S_<a1>(int)=2.0、K^S_<a2>(int)=9.6、K^S_<M(Mg)>(int)=10.0及びK^S_<M(Cu)>(int)=2.6の各定数が得られた。本パラメーターを用いて、粒子表面化学種の濃度-pH図を作成し、上記浮選活性現象の認められるpH領域において、金属イオンとSiC表面シラノールとが表面化合物を形成するpH域と一致していることを確認できた。
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