研究概要 |
本年度の実績は以下の4つにまとめられる. 1)コムギVrn-A1に連鎖する開花期を制御する2つの遺伝子座を検出し(Plant Breedingに一部を発表),これら3遺伝子座はいずれもイネの開花期を制御する短日反応性のHd6(Casein Kinase IIα)とは異なることを明らかにした. 2)コムギVrn-A1を精密マッピングするため,実績1)で同定できた2遺伝子座を含む遺伝背景の効果を除外してVrn-A1座の効果のみを評価できるマッピング集団を戻し交雑により育成し,高度戻し交雑QTL解析を行っている.これまでに600系統からなるマッピング集団を育成し,ゲノミックDNAを抽出し終え,サザンハイブリダーゼーションによりRFLPマッピングを行っている. 3)コムギからイネCasein Kinase IIαのホモグロをクローニングし構造解析と発現様式を明らかとするため,実績2)のマッピング集団の片親であるコムギの染色体置換系統Chinese Spring(Triticum spelta 5A)の幼苗期の全植物体からcDNAライブラリーを作成した.現在,イネで単離されたCasein Kinase IIαをプローブとしてスクリーニング中. 4)オオムギで単離された春化処理に応答するEST(木藤ら,1998)29種を,コムギとオオムギの連鎖マップ上に位置付けた(1999,育種学研究1別冊2号p138).これらのESTのうちVrn-A1近傍にマップされた2クローンについて,現在Vrn-A1座との関連づけを行っている.
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