研究概要 |
草丈の矮化とジベレリンの関連を分子レベルで明らかにするために,要因を異にする3つのイネ矮性突然変異体1)ジベレリン欠損型,2)ジベレリン非感受性型,3)ジベレリン独立型について,正常品種との比較のもとに解析を行った。 各種サブトラクション技術を用いて,矮化遺伝子の単離を試みた。イネはゲノムサイズが小さいことから,ゲノミックサブトラクションにより矮化遺伝子を単離できる可能性が高い。そこで,暗所にて2週間生育させた各種突然変異体の緑葉より,CTAB抽出法を用いてゲノミックDNAを調製した。その結果,サブトラクションを行うのに十分なゲノミックDNAを調製することができた。また,矮化遺伝子は発芽の際にも発現していることから,発芽種子のmRNAを用いたcDNAサブトラクションの利用も,矮化遺伝子のcDNAクローニングに効果的であると考えた。そこで,各種矮性突然変異体の発芽種子からSDS-フェノール法を用いてRNAを調製した。その結果,cDNAサブトラクションを行うのに十分量のmRNAを調製することができた。 並行して,ジベレリンの受容シグナル伝達系を観察するためのトランジェント実験系の確立を試みた。ジベレリン誘導性のα-アミラーゼ遺伝子プロモーターに,GUS(β-Glucuronidase)遺伝子を繋いだレポーター遺伝子を作成し,イネ発芽種子の糊粉層細胞にパーティクルガンを用いて導入した。現在,効率的な遺伝子導入のための諸条件の検討を行っているが,今後は矮化遺伝子の同時導入を行う計画である。レポーター遺伝子の発現パターンを観察し,矮化遺伝子とジベレリンシグナル伝達系との関連を明らかにする計画である。
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