染色体歩行によって花粉S遺伝子を同定することを目指し、本年度はアーモンドの突然変異体「Jeffries」の原品種「Nonpareil」(S^cS^d)、そしてナシの突然変異体「おさ二十世紀」の原品種「二十世紀」(S^2S^4)を用い、コスミドライブラリーを構築した。S-RNase遺伝子をプローブとしてスクリーニングを行い、約35kbの挿入断片長を持つクローンをそれぞれのライブラリーから単離した。「Nonpareil]については、コスミドクローンの末端をプローブとして更にスクリーニングを続けることで、これまでに11のクローンによってS^c対立遺伝子領域を200kbp以上にわたってカバーするコスミドコンティグを構築した。コスミドクローンの末端領域をプローブとして、「Nonpareil」および「Jeffries」のサザンブロット解析を行った。その結果、「Jeffries」のS^c対立遺伝子領域の欠失は構築されたコスミドコンティグの範囲よりも大きく、20kbp以上にわたっていることが示された。「二十世紀」のライブラリーから得られたコスミドクローンの末端領域を用いて「二十世紀」及び「おさ二十世紀」のサザンブロット解析を行った結果、「おさ二十世紀」のS^4対立遺伝子領域の欠失範囲はコスミドクローンのカバーする範囲(約35kbp)よりも大きいことが示された。「おさ二十世紀」はS^4ーRNase遺伝子は欠失しているが花粉S^4遺伝子の機能は正常であることから、この結果は花粉S^4遺伝子は、S^4-RNase遺伝子の7kbp以上上流か、27kbp以上下流に座乗していることを示している。
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