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2000 年度 実績報告書

シアン耐性呼吸の制御に関する生産生理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 11760012
研究機関岡山大学

研究代表者

平井 儀彦  岡山大学, 農学部, 助手 (80263622)

キーワードイネ / 暗呼吸 / 維持呼吸 / シアン耐性呼吸 / 転流
研究概要

イネでは光合成産物の約半分が暗呼吸によって消費される。このため、暗呼吸の抑制は作物の物質生産効率を高める上で重要と考えられる。また、植物の呼吸に含まれるシアン耐性呼吸は、エネルギーの生産効率が低く、作物の生産性向上には、この呼吸の抑制が望まれる。シアン耐性呼吸の速度を知るには、植物による酸素同位体分別の測定が唯一の測定法であるが、測定が困難であるため、測定例は極めて少ない。本研究では栄養生長期と登熟期のイネの暗呼吸の品種間差異について部位別に調査し、呼吸抑制の可能性を検討した。さらに、酸素の安定同位体比測定によるシアン耐性呼吸の測定装置を作成し、イネ葉身に含まれるシアン耐性呼吸の割合を調べた。
飢餓法により栄養生長期の水稲26品種における茎葉部の維持呼吸速度を比較したところ、有意な品種間差異が認められ、最大1.5倍の差があった。飢餓法で維持呼吸速度が低いとされた品種では、強光条件下でも呼吸速度が低かった。栄養生長期に維持呼吸速度の差が大きかった4品種については、登熟期の部位別暗呼吸速度も調べた。その結果、登熟期の維持呼吸速度は栄養生長期とは異なること、葉身と穂の呼吸速度は茎に比較して品種間差異が大きいことがわかった。また、登熟期の水稲では、茎葉重当たりの籾数が大きい個体では、光合成速度が高まり、葉身での非構造性炭水化物の転流コストが低下すること、葉身と茎の呼吸は主に転流に関わっていることが明らかになった。また,イネのシアン耐性呼吸の測定のための阻害剤の処理法が明らかになり,夏期に比較して秋期にはイネ葉身のシアン耐性呼吸の割合は高まることがわかった.以上のことから、イネの呼吸抑制による物質生産効率の向上は、葉身と穂の呼吸が低いことでもたらされると考えられ、特に葉身については個体のシンクを大きくすることが重要であることが明らかになった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 平井儀彦: "一穂籾数の異なる水稲品種における暗呼吸速度と生長効率について"日本作物学会紀事. 70巻(別1)(発表予定). (2001)

  • [文献書誌] 平井儀彦: "遮光および穂切除が水稲の暗呼吸と生長効率に及ぼす影響"日本作物学会紀事. 69巻(別2). 120-121 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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