研究概要 |
本実験では,ユリ科花卉園芸植物において形質転換技術を用いた耐病性品種を作出することを最終目的として,以下の項目について検討した. 1.培養組織からの効率的な植物体再生系の確立 数種・品種のユリ,アガパンサスおよびムスカリにおいて,高い増殖能力および植物体再生能力を保持したカルスの培養系を確立した.特に,タカサゴユリ,アガパンサス,ムスカリにおいては,植物体再生過程を組織学的に観察し,不定胚経由の再生が起こっていることを明らかにした. 2.選抜薬剤耐性濃度の調査 数種・品種のユリ,アガパンサスおよびムスカリにおいて,カルスの増殖および植物体再生に及ぼす数種類の抗生物質および除草剤の影響を調査した.その結果,全ての植物種において,培地へのハイグロマイシンまたはビアラフォスの添加により,カルスの増殖および植物体の再生が明らかに抑制されることが示された. 3.抗菌性タンパク質遺伝子ホモログのクローニング 数種のアブラナ科植物およびユリ科植物から抽出したmRNAを鋳型として,RT-PCR法によりディフェンシン遺伝子のホモログの単離を試みた.現在までのところ,アブラナ科植物から修種の数種のホモログが単離されており,発現ベクターへの組み込みおよびアグロバクテリウムヘの導入を完了している.
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