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1999 年度 実績報告書

根域低酸素に対するキュウリの代謝的適応の生化学的機構の解明に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 11760021
研究機関三重大学

研究代表者

名田 和義  三重大学, 生物資源学部, 助手 (40293807)

キーワード根域低酸素耐性 / キュウリ / 細胞質アシドーシス / ポリアミン / リンゴ酸代謝
研究概要

本研究はキュウリ根の低酸素に対する代謝的適応のメカニズムを生化学的に解明し,陸上植物の耐湿性の改善に対する基礎情報を得ることを目的とする.これまでに,根域低酸素耐性作物であるキュウリ根では,リンゴ酸蓄積をもたらす代謝系が促進されるとともに,エタノールおよび乳酸発酵代謝が阻害され,主として乳酸蓄積による細胞質の酸性化(アシドーシス)が回避されることが明かとなっている(郭ら,1999).
初年度である本年度では,まず,キュウリ根におけるリンゴ酸蓄積の代謝機構を明らかにするため,まず,根の転流糖代謝,解糖系およびC_4回路系の物質代謝とそれらに関与する酵素系の分析手法の確立を行った.次に,キュウリ根における細胞質アシドーシス回避のメカニズムについて,各種ストレス条件下で誘導されるポリアミンとの関連で調査した.その結果,溶存酸素濃度(DO)0.8ppmの低酸素処理後3日目までにポリアミン含量が急激に増加し,DO6.5ppm区(対照区)に比較してプトレシンで約4倍,スペルミジンおよびスペルミンで約2倍となった.一方,根域低酸素感受性作物であるトマトでは,低酸素によるポリアミンの誘導は認められなかった.これらのことから,カチオンであるポリアミンの誘導がキュウリ根の細胞液pH上昇の一要因であると考えられる.
ポリアミンは各種ストレス条件下において生体膜あるいはタンパクに対する保護作用があるとされており,低酸素下でのキュウリ根におけるリンゴ酸代謝にポリアミンが直接関与する可能性も考えられ,このことについて次年度で詳細に検討する予定である.

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] J.SONG: "Ameliorative effect of polyamines on the high temperature inhibition of in vitro polen gremination in tomato (Lycopersicon esculentum Mill)"Scientia Horticulturae. 80. 203-212 (1999)

  • [文献書誌] 郭世栄: "低酸素条件下の根のエタノール,乳酸およびリンゴ酸代謝と細胞液pHにおけるトマトとキュウリ間の差異"園芸学会雑誌. 68. 152-159 (1999)

  • [文献書誌] 郭世栄: "キュウリ幼植物の根域低酸素耐性における硝酸還元酵素の役割"園芸学会雑誌. 67. 613-618 (1998)

  • [文献書誌] 橘 昌司: "トマトとキュウリの根のエタノール,乳酸およびリンゴ酸代謝と細胞液pHに及ぼす根域低酸素の影響"園芸学会雑誌. 67(別2). 304 (1998)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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