1)緑枝挿し:(1)6月下旬から8月下旬にかけて1ヶ月毎に挿し木を行い、最適挿し木時期を明らかにする。〔結果〕6月下旬から7月下旬にかけての挿し木は平均90%の発根率を得たが、8月下旬に挿し木すると、発根率は15%以下となった。(2)大量繁殖の可能性を探るため、樹木用プラグトレイに挿し木する。その際、数種類の培土を使用する。〔結果〕培土容量の少ないプラグトレイに葉芽挿し穂を挿しても、網かごに挿した場合と同様の発根率であった。鹿沼土とピートモスの混合培土、市販の挿し木用培土共に良好な発根率が得られた。また岡山県総合農業センターの果樹園にある極わい性カキ台木から得た挿し穂も、網かごおよびプラグトレイの両培土において、高い発根率が得られた。 II)休暇枝挿し:現在、実験中。 III)顕微鏡観察:(1)緑枝挿し穂〔結果〕ひこばえ由来の葉芽挿し穂は、発根処理20日目に初生根原基の発生が認められ、その後根原基へと発達してゆき、30日目に発根が認められた。いっぽうひこばえ由来の25cm挿し穂は、新たな細胞分裂も認められず、発根処理25日後には全個体が枯死した。また成木由来の葉芽挿し穂は、細胞分裂速度は遅く、発根もほとんど観察されなかった。(2)休眠し挿し穂〔結果〕盛り土処理をしていたひこばえ由来の挿し穂は、発根処理前、すでに多様な発達段階の根原基が確認されており、それらが挿し木後発達して根になることが示唆された。いっぽう盛り土していないひこばえやひこばえの上部からの挿し穂には根原基の存在は確認されなかったものの、厚壁細胞の発達程度に差があり、これらが挿し木後の根原基の形成に影響を及ぼし、発根率の差をもたらすことが示唆された。
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