1)ウイルス感染虫の発育に関する調査 チャノコカクモンハマキ孵化幼虫に、顆粒病ウイルス(GV)および昆虫ポックスウイルス(EPV)を接種し、感染虫の発育を観察した。その結果、GVもEPV感染虫も幼虫期間が延長し蛹化せずに致死した。また、アワヨトウ幼虫各齢に、EPVを接種し、感染虫の発育期間、摂食量、体重を調査した。 4齢脱皮直後にウイルスを接種されたアワヨトウ幼虫はすべて幼虫で致死したが、6齢脱皮直後に接種されたアワヨトウ幼虫は、すべて蛹化し蛹で致死した。 2)ウイルス感染虫の体液中のエクジステロイド量の変動 チャノコカクモンハマキGVおよびEPV感染虫の体液を採取して体液中のエクジシテロイド量の変動を測定した。その結果、終齢GV感染虫の体液中のエクジステロイド量は高く維持されており、一方EPV感染虫では終齢では検出限界以上の低い量しかみとめられなかった。そこで、両ウイルス感染虫の体液中のUDP-グリコシルトランスフェラーゼの活性の有無を調査したところ、GV感染虫の体液中には活性が認められたのに対してEPV感染虫の体液中にこの酵素の活性はみとめられなかった。 3)ウイルス感染虫の体液中の幼弱ホルモンエステラーゼ活性の変動 チャノコカクモンハマキGVおよびEPV感染虫の体液を採取し、体液中の幼弱ホルモンエステラーゼ(JHE)活性を測定した。その結果、どちらの感染虫においても終齢では、JHE活性は非感染虫における活性と較べて低く、体液中のJHが分解されていない可能性が示唆された。
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